このページの要点
- 最終確認画面には、期間・回数・更新の有無、初年度と更新後の金額、解約の条件を表示する(特商法12条の6)。
- 「お試し」「初回無料」「いつでも解約可能」の強調で誤認させると、申込みは取り消される(同法15条の4)。
- 自動更新は、更新前の通知と、通知より後の停止期限、日付と時刻で書いた期限がそろって初めて説明できる。
- 年額の中途解約は、返金なし・月割り・定価の再計算から選び、画面・表記・契約書の文言を一致させる。
結論:年額・定期購入型の講座は、申込み前の画面で「続くこと・いくら・いつまでに止められるか」を見せ、そのとおりに運用する
年額の講座、期間が終わるたびに続くプラン、修了後の月額サポート。受講料が一度きりで終わらない講座では、「更新されると知らなかった」「無料のお試しのつもりだった」「止めようとしたのに止められなかった」という行き違いが起きやすくなります。原因は契約書の文言そのものより、申込みの直前に何が表示されていたか、更新の前に何が知らされたか、止めるときの手続がどうだったか、の三つの場面にあることが多く見られます。
結論は次の四つです。
- インターネットで申し込める講座は、特定商取引法(特商法)の通信販売に当たります。申込みを確定する画面(最終確認画面)には、分量(期間・回数・更新の有無)、各回と総額の代金、支払の時期、提供の時期、解約の条件を表示する必要があります(12条の6第1項)。広告に書いただけでは足りません。
- 「お試し」「初回無料」「いつでも解約可能」を強調しながら、継続する契約であることや解約の条件を小さく離れた場所に書くと、誤認させる表示として問題になります(同条2項)。誤認して申し込んだ受講者は、その申込みを取り消せます(15条の4)。
- 自動更新の条項は、更新後の期間と金額、更新の前の通知、更新を止める期限と方法がそろって初めて、受講者に説明できる形になります。「手続をしなければ更新される、金額は最新のもの、異議は述べない」とだけ書く条項は、消費者契約法10条の審査を受けます。
- 年額の中途解約は、返金なし・月割り・定価での再計算のどれにするかを申込み前に示し、最終確認画面・特商法表記・契約書の文言を一致させます。
このページで「年額・定期購入型の講座」と呼ぶのは、期間を区切って受講料を受け取り、満了後も同じ内容が続く形の講座と、その更新・継続の仕組みです。形を五つに分けると、決めることが見えやすくなります。
| 形 | 典型 | 最初に決めること |
|---|---|---|
| 満了で終了(更新なし) | 3か月・6か月・1年の講座で、満了すれば契約も終わる | 更新がないことの明記。延長や再受講は別の申込みにする |
| 満了後に自動更新 | 年額の講座が、受講者が止めない限り毎年続く | 更新後の期間と金額、更新前の通知、停止の期限と方法 |
| 満了後に継続プラン(希望者のみ) | 修了後に月額のサポートやコミュニティを別途申し込む | 継続プランの申込み画面、初回の請求日、停止の方法 |
| 無料体験・割引から有償へ移行 | 体験期間のあと、何もしなければ有償の契約に移る | 移行の日、移行後の金額、体験期間中の停止方法 |
| 買い切り講座+継続サポート | 教材や動画は買い切りで、質問サポートだけが月額 | 買い切り部分と継続部分の書き分け、継続部分の解約と精算 |
返金の精算の組み立ては返金規定と中途解約の精算、自社での分割払いは分割払いと割賦販売法、決済方法ごとの違いは決済方法と規約、月額会費で続くコミュニティはオンラインサロンの会員規約で扱っています。このページは、続く契約に固有の表示・取消し・更新の設計に絞ります。
定期購入やサブスクの講座には、通信販売の「申込み段階の表示」の規律がかかる
販売ページから受講者が自分で申し込み、カードなどで支払う講座は、特商法の通信販売です。役務(サービス)を提供する事業者も対象で、講座の販売はここに入ります。通信販売の表示の義務は二段階あります。一つは広告に表示する義務(11条。いわゆる特商法表記)、もう一つは、申込み直前の書面や画面に表示する義務(12条の6)です。後者が、定期購入やサブスク(定額の料金を定期的に払い、一定期間サービスを使う契約)で問題の中心になる規定です。
12条の6の対象は「特定申込み」です。事業者が定めた様式の書面で行う申込みと、電子計算機の画面に表示される手続に従って行う申込みがこれに当たります。消費者庁のガイドライン(通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン)は、画面上の申込みボタンなどを押すと申込みが完了する画面を原則として最終確認画面とし、画面の表題にかかわらず対象になるとしています。講座の現場で迷いやすい点は三つあります。
- 決済情報の入力だけが別の画面になり、決済事業者の承認で申込みが完了する仕組みでは、その前にある申込み内容の確認画面が最終確認画面に当たります。外部の決済サービスのページへ飛ばす設計でも、飛ばす前の画面を整える必要があります。
- ガイドラインは脚注で、チャットやSNSなどで申込みを行う場合も含むと書いています。LINEのメッセージで申込みを受ける運用が事業者の定めた様式の手続に当たるかは、実態で判断が分かれ得ます。安全側に倒すなら、後に述べる項目を書いた確認メッセージを送り、返信を受けてから契約に進めます。
- 電話だけで申込みを受け、書面も画面も使わないときは特定申込みに当たりません。同じ講座を申込みページでも受け付けているなら、そのページでの申込みは対象です。
ガイドラインは、広告に11条の表示をしていても、それで12条の6の表示義務を果たしたことにはならない、とも整理しています。特商法表記は整っているのに、最終確認画面が受講料と期間しか出していない講座は、この点に引っかかります(表記の整え方は教材販売・オンライン講座の特商法表記)。
他の規律との境目も押さえておきます。Zoomなどの個別相談で勧誘して申し込ませる流れは、電話勧誘販売として、契約書面とクーリング・オフが問題になります(Zoom個別相談と電話勧誘販売、契約書面とクーリング・オフの赤枠)。語学教室・学習塾・家庭教師・パソコン教室など政令で指定された役務に当たる講座は、特定継続的役務提供に当たるかの判定が先に必要です(オンライン講座の開設と取引類型)。通信販売にはクーリング・オフの制度がなく、商品の返品に関する規定も商品や特定権利の売買が対象です。継続課金の講座で受講者が頼れるのは、表示の義務と、次の節で見る取消し、契約書の条項の効力ということになります。
通信販売の規定は、営業のために、または営業として契約する相手には適用されません(26条1項1号)。ただ、販売ページの段階で受講者の目的を見分けるのは難しいので、受講者全員に同じ表示をする設計が通常です。
最終確認画面には何を書くか:講座の継続課金にあてはめる
12条の6第1項が求める表示事項は、分量、販売価格・役務の対価、支払の時期と方法、提供の時期、申込みの期間に関する定め(あるとき)、申込みの撤回・解除に関する事項の六つです。定期購入やサブスクについて、ガイドラインは次のような考え方を示しています。講座にあてはめて並べたのが次の表です。
| 表示事項 | ガイドラインの考え方 | 講座での書き方の例 |
|---|---|---|
| 分量 | サブスクでは提供期間と、期間内に使える回数があればその内容を表示する。無期限ならその旨を明示し、1年単位の総分量を目安として示すのが望ましい。自動更新があればその旨も | 受講期間は開始日から1年間。動画は全40本、個別セッションは期間中6回。満了日に同じ期間で自動更新されます |
| 価格・対価 | 各回の代金と総額を明確に。初回と2回目以降が違うときは対比する。無償や割引から通常価格へ自動で移るなら、移る時期と金額を示す | 初年度と更新後の受講料を、税込の総額で並べて表示。無料体験は14日間、翌日から年額の請求になります |
| 支払の時期・方法 | 定期購入では各回の支払時期も明確に | 更新日に、登録したカードへ請求します |
| 提供の時期 | 各回の提供時期も明確に | 決済の確認後3日以内に視聴開始。更新後は更新日から続けて提供します |
| 申込みの期間 | 申込みそのものを締め切る定めがあるときに表示する。個数限定や、価格だけの期間限定は当たらない | 受付は月末まで、など |
| 撤回・解除 | 解約の申出の期限、違約金などの不利益があればその内容、方法や条件を表示する | 更新の停止は満了日の30日前までに、マイページから。停止後も満了日まで受講できます |
ガイドラインの説明の中心は物の定期購入ですが、サブスクについても、期間・回数・移行の時期と金額を示すよう明記されています。
表示する位置について、ガイドラインは、最終確認画面は原則として表示事項を網羅して表示するのが望ましいとしつつ、消費者が明確に認識できることを前提に、リンクや別ウィンドウで広告の該当箇所を参照させる形も認めています。その場合、リンク先で必要事項が容易に分かる必要があります。
例外が、解約の方法に制限があるときです。電話のあとにメッセージアプリの操作も必要にしている、追加の個人情報の提出を求める、受付の時間帯を限っている、申込みと同じ手段での連絡を受け付けない、といった消費者が想定しにくい限定は、リンク先に委ねず、最終確認画面にも明確に表示するよう求められています。ただしガイドラインは、制約を表示したからといってその制約が民事上有効になるわけではなく、消費者契約法により無効になることがあると念を押しています。電話での解約を受け付けるなら実際につながる番号を載せる必要があり、かけても一切つながらない、折り返しの連絡が来ない、という状態は不実の表示に当たるおそれがあります。
申込みは数回のクリックで解約は数日がかり、という非対称は、条項が不当かどうか(消費者契約法10条)を判断するときの事情にもなります。
広告の側にも、継続の契約に固有の表示があります。契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨と金額(支払総額)、契約期間などの販売条件を広告にも表示します(法11条6号、施行規則23条7号)。当初は有期で、自動更新によって2回以上になる契約がこれに当たると考えられます。消費者庁の通信販売広告Q&Aは商品の売買を例に説明していますが、施行規則の文言は役務提供契約も対象にしているため、講座でも同じ整理で臨みます。
最終確認画面の点検リスト(継続型の講座)
- 表題が「注文内容の最終確認」など申込みの画面と分かり、ボタンも「年額○円で申し込む」のように有料の申込みと読める。
- 受講期間、提供の回数、自動更新の有無が、受講料の近くに表示されている。
- 初年度の金額と更新後の金額が、税込の総額で並んで見える。無料・割引の期間があれば、終了日と終了後の金額も見える。
- 更新を止める期限・方法・費用を、リンク先に委ねず画面の中で読める。解約の窓口の電話番号やフォームは実際に動いている。
- 前の画面に戻って申込み内容を確認し、訂正できる(特商法14条1項2号、施行規則42条1項)。継続の契約があらかじめ選ばれた状態で表示されていない。
「お試し」「初回無料」「いつでも解約可能」と書くとき:誤認になる表示と、取消しの仕組み
継続型の講座の入口は、無料体験、初月だけの特別価格、「まずはお試し」といった導線であることが多いものです。12条の6第2項2号は、表示事項を表示していて、それが事実と違わなくても、意味するところを誤認させる表示を禁止しています。誤認かどうかは、表示の位置・形式・大きさ・色調、ほかの表示との組み合わせから受ける全体の印象で判断されるというのが、ガイドラインの説明です。同項1号は、押したボタンが有償の契約の申込みになることを明確にしていない表示(「送信する」「次へ」とだけ書かれ、ほかにも申込みと分かる表示がない画面など)を禁止しています。
ガイドラインの具体例を講座の言葉に置き換えると、次のような表示が問題になりやすいと考えられます。
- 「7日間無料体験」の大きなボタンの下に、8日目から年額の請求が始まることが、小さな文字で書かれている。ガイドラインは、「お試し」「トライアル」を殊更に強調する表示は、試行的な契約や、容易に解約できる契約だと受け取られやすいので、実際には定期の契約だったり、解約に条件があったりすると、該当するおそれが強いとしています。
- 「今だけ初月0円」を大きく示し、12か月の継続が条件であること、途中解約の条件は、規約へのリンクにしか書かれていない。
- 「いつでも退会OK」と強調しながら、実際には更新日の30日前までで、マイページからしか手続できず、残りの期間分は返金されない。ガイドラインは、「いつでも解約可能」と強調して、解約方法の限定や解約料を離れた場所に小さく書く表示を、誤認させるおそれのある例に挙げています。
書き方の例(一般的な例) 申込みボタンの周辺
体験から有償への移行
強調する部分と、受講者に不利に働く条件を、離れず同じ強さで見えるようにするため
解約のしやすさの表示
条件付きの解約を「いつでも」と表現すると、実際より自由に解約できるとの誤認を生むおそれがあるため
表示が12条の6に反して、受講者が誤認して申し込んだ場合、受講者はその申込みの意思表示を取り消せます(15条の4)。消費者庁の案内は、取り消せる場面として、不実の表示を事実だと思い込んだ場合、表示がないためその事項が存在しないと思い込んだ場合、申込みになると気づかなかった場合、表示事項について誤認させる表示で誤認した場合の四つを挙げています。講座でいえば、更新の事実が書かれていなかった、体験だと思って押したら年額の申込みだった、という場面です。取り消された契約は、初めから無効であったものとみなされ(民法121条)、受講料は返す方向で処理します。取消しができる期間は法律で区切られています。
消費者契約法にも、似た取消しの仕組みがあります。事業者が勧誘に際して、重要事項について事実と異なることを告げたとき(4条1項1号)、また、重要事項について利益となる旨を告げ、不利益になる事実を故意または重大な過失で告げなかったために、その事実が存在しないと誤認したとき(同条2項)に、受講者は申込みを取り消せます。「重要事項」には、対価その他の取引条件が含まれます(同条5項2号)。更新後に支払が生じることは、受講するかどうかの判断に通常影響する取引条件であり、「今なら無料で始められます」とだけ伝えて更新後の支払に触れずに勧誘すれば、この問題になり得ます。
取消権は、追認(取り消せる契約を有効と認めること)をすることができる時から1年間行わないときに時効で消滅し、契約の締結の時から5年を経過したときも消滅します(消費者契約法7条1項)。取り消した受講者の返還義務は、取消しの原因を知らずに給付を受けていたときは、現に利益を受けている限度に限られます(同法6条の2)。不当な条項は、個別の受講者との争いだけでなく、適格消費者団体による差止請求の対象にもなり得ます(同法12条3項)。
自動更新の条項:よくある失敗と直し方
自動更新(期間の満了までに受講者が止めなければ、同じ期間で契約が続く仕組み)は、それだけで違法や無効になるわけではありません。ただし、消費者契約法10条は、消費者の不作為をもって新たな契約の申込みや承諾をしたとみなす条項を例に挙げ、民法1条2項の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものを無効としています。自動更新はこの類型に近い形をしているので、更新の条件が見える形で示され、止める機会が実際にあるかが、有効かどうかの分かれ目になります。
規約に書く場合は、民法548条の2も関わります。規約を契約の内容とする旨の合意があれば個別の条項にも合意したものとみなされますが(同条1項)、相手方の義務を加重する条項で信義則に反して一方的に害するものは、合意しなかったものとみなされます(同条2項)。実務で見られる条項の型を、直し方とあわせて並べます。
書き方の例(一般的な例) 自動更新の条項
更新後の金額と異議
「異議を述べられない」は、通知がなく止める機会がなかった受講者の主張も封じる書き方になり、10条の審査で不利
停止の期限と更新後の扱い
通知がない30日前の期限は、期限が過ぎてから更新に気づく設計になりやすい。更新後の1年間は解約できないとなると、気づいた時点で全額を負担する形になり、9条1項1号・10条の審査の対象になる
更新条件の通知手段
条件の変更は合理的であることが要件で(548条の4第1項2号)、効力発生時期までに周知しなければ効力を生じない(同条3項)
短い期間の更新
1か月の契約の10日前は期間の3分の1にあたり、更新の判断を迫られる時期としては早すぎる。気づいたときには更新が終わっていて、返金もされない形になりやすい
自動更新のほかに、満了前に受講者が別の申込みとして継続プランを選ぶ設計もあり、更新のトラブルを避けやすい方法です。
年額・月払い・一括:中途解約の精算と、更新を止める期限の数え方
年額の講座には、年額を一括で払う形、12回の月払いで払う形、年額分を月ごとに自動で請求する形があり、同じ「年額」でも中途解約の考え方が違います。精算の方法によって、受講者の手元に戻る金額がどれだけ違うかを、計算例で示します。年額の受講料が96,000円(税込)の一括払い、月払いの定価が10,000円(12か月分で120,000円)、開始から5か月で解約したと仮定します。
| 精算の方法 | 計算 | 返金額 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 返金なし | 年額の全額を、申込み時に確定した対価とする | 0円 | 未経過の7か月分は提供が続くのに対価を受け取る形になり、9条1項1号・10条の審査を受けやすい |
| 月割り | 96,000円×5÷12=40,000円を提供済みとする | 56,000円 | 最も説明しやすい。年額の割引は精算しない設計 |
| 定価で再計算 | 月払い定価10,000円×5=50,000円を提供済みとする | 46,000円 | 年額の割引は継続を前提にしていたという説明と、差額10,000円が事業者に生じる損害に見合う根拠が必要 |
金額は説明のための仮定です。
年契約・月払いの形では、「中途解約しても満了までの料金の支払義務は続く」と定めた条項が見られます。月払い8,000円(12回で96,000円)の契約を5か月で解約すると、残りの7か月分56,000円を請求し続ける形です。講座が委任に近い性質を持つ場合、民法651条1項は各当事者がいつでも解除できるとし、委任が履行の中途で終了したときは、履行の割合に応じた報酬を請求できます(648条3項)。解除の自由を認めながら残額の全額を請求する書き方は、解除に伴う違約金を定めた条項として9条1項1号の審査を受け、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効です。
次に、更新を止める期限です。更新の一巡を、受講者から見える順に並べます。
年額講座の更新の流れ(例)
- 申込み画面更新の有無、更新後の期間と金額、停止の期限と方法を表示する
- 更新前の通知満了日の45日前に、メールとマイページで、更新日・金額・停止の期限日・方法を通知する
- 停止の期限満了日の30日前にあたる日。通知には日付で書く
- 更新日登録したカードへ請求し、更新の完了を通知する
- 更新の直後特例を置く場合は、更新日から14日以内の申出で更新分を返金する
日数は例です。
期限の数え方には落とし穴があります。契約の開始が2026年4月1日で期間が1年なら、暦に従って数える民法143条の考え方では、4月1日の午前零時から1年と数えれば、満了日は2027年3月31日です。「満了日の30日前まで」を単純に引くと、2027年3月1日になります。ただ、開始が日の途中であれば期間の初日を算入しない原則(同法140条)が働き、さかのぼる数え方にどうあてはめるかとあわせて、1日ずれる余地があります。さらに、意思表示は相手方に到達した時から効力を生じますから(同法97条1項)、受講者が送った日で見るのか、事業者に届いた日で見るのかでも結論が変わります。数え方で争いにならないよう、条文には「2027年3月1日の23時59分までにマイページの手続を完了すること」のように日付と時刻で書き、通知にも同じ日付を載せ、手続の完了はフォームの送信完了など記録が残る時点を基準にします。更新前の通知を満了日の45日前、つまり2027年2月14日に出せば、停止の期限まで15日間の余裕があります。
契約の成立の時点は契約はいつ成立するか、規約の条項ごとの扱いは利用規約・受講契約書の条項Q&Aで説明しています。次の条文例は、ここまでの内容をそろえた書き方の一例です。
条文例年額講座の更新と更新停止の条(新たに書き起こした例)
- 本講座の受講期間は、申込み画面に表示した開始日から1年間とします。受講者が更新を停止しない限り、本契約は満了日の翌日から同じ期間で更新されます。更新後の受講料は、申込み画面に表示した更新後の金額とします。
- 当社は、満了日の45日前までに、更新される日、更新後の受講料、更新を停止する方法及び停止の期限日を、登録されたメールアドレスとマイページで受講者に通知します。
- 受講者は、前項の通知に記載された期限日の23時59分までに、マイページの更新停止の手続を完了することにより、更新を停止することができます。更新を停止した場合でも、満了日までの受講に影響はなく、受講者に費用は生じません。
- 当社が更新後の受講料を第1項の金額から改定する場合は、第2項の通知において改定の内容を示します。受講者は、改定後の受講料に同意しないときは、前項の期限日までに更新を停止することができます。
- 受講者が更新後に更新に気づき、更新日から14日以内に申し出たときは、受講者が更新後の講義動画を視聴していない場合に限り、更新後の受講料の全額を返金します。
- 更新停止の手続は、受講者が申込みを行ったときと同じインターネット上の方法で行えるものとし、手続が完了したときは、当社は完了の日時を直ちに通知します。
第5項の返金の特例は任意で、置かない設計もあります。
ヒヤリングで確認すること:継続型の講座の書類を作る前の問い
次の問いの答えによって、最終確認画面・特商法表記・規約・契約書のどこに何を書くかが決まります。
ヒヤリングの問いと理由 継続型の講座で、書類を作る前に確かめること
受講者は、どの流れで申し込みますか。販売ページの申込みフォーム、LINEでのやり取り、Zoomの個別相談のあと、のどれですか。
申込みの流れで、通信販売(12条の6)か、電話勧誘販売かが分かれます。最終確認画面を整える場所と、契約書面の要否が変わるためです。
更新があるのは、どのコースやプランですか。満了後の継続は、自動で続くのですか、受講者が申し込むのですか。
自動更新なら、更新後の期間・金額・停止の期限を申込み前に示す必要があります。継続を別の申込みにするなら、その申込み画面を整えます。
無料体験や初月だけの特別価格はありますか。終了したら、何もしなくても有償に移りますか。
有償への移行は、移行の日と金額を最終確認画面に表示する必要があります。「お試し」の強調が誤認につながらないか確認するためです。
解約や更新停止は、どの窓口で受け付けますか。申込みと同じくらいの手間で手続できますか。電話番号を載せるなら、実際につながりますか。
解約方法の限定は、最終確認画面にも明確な表示が必要です。手続が重いと、不当な条項かどうかの判断でも不利になります。
更新停止の期限は、更新日の何日前ですか。更新の前の通知は、いつ、何で、誰が送りますか。
通知を停止の期限より前に置けるかを確かめます。期限を日付で通知に載せられるか、通知の記録を残せるかも合わせて聞きます。
年額は一括払いですか、月払いですか、両方ですか。途中で解約したとき、どう精算したいですか。
精算の方法(返金なし・月割り・定価の再計算)で、書き方と説明の根拠が変わります。月払いなら、残額の請求を置くかも確かめます。
決済サービスのサブスク設定(更新日、請求失敗のとき、停止の手続)は、規約の内容と一致していますか。
規約で停止の期限を決めても、決済サービス側の設定が違えば、請求が止まらない事故が起きます。画面の文言と設定を合わせるためです。
起きがちなこと
よくあるご質問
年額の講座を自動更新にする場合、どの画面に何を書けばよいですか。
申込みを確定する最終確認画面に、受講期間、提供の回数、自動更新があること、初年度と更新後の金額、支払の時期、更新を止める期限と方法、費用の有無を表示します(特商法12条の6第1項)。ガイドラインは、解約の方法に制限があるときは、リンク先に委ねず最終確認画面にも明確に表示するよう求めています。広告に同じ内容を書いてあっても、最終確認画面の表示の代わりにはなりません。
「7日間無料体験」から有償に移る講座で、気をつけることは何ですか。
体験の終了日、終了後に請求される金額、体験期間中に止める期限と方法を、体験を始めるボタンと同じ強さで見える場所に表示します。「お試し」を殊更に強調して、実際には定期の契約になっていたり、解約に条件があったりすると、誤認させる表示に当たるおそれが強いとガイドラインは説明しています。誤認して申し込んだ受講者は、特商法15条の4により、申込みを取り消せます。
更新の通知を送れば、受講者は更新後の金額に異議を述べられなくなりますか。
通知だけで異議が述べられなくなるとは言えません。更新後の金額が申込み時と変わるなら、規約の変更の手続として、効力発生時期を定め、変更の内容を周知する必要があり、周知は効力発生時期までに行わなければ効力を生じません(民法548条の4第2項・3項)。「異議を述べることができない」という条項は、消費者契約法10条の審査を受けます。受講者が止める機会を実際に得られるよう、通知は停止の期限より前に出します。
更新を止める期限は、「30日前まで」とだけ書けば足りますか。
それだけでは、数え方で争いになる余地が残ります。さかのぼる数え方で1日ずれることがあり、受講者が送った日で見るのか、事業者に届いた日で見るのかでも結論が変わります(意思表示は到達した時から効力を生じます。民法97条1項)。「2027年3月1日の23時59分までに手続を完了すること」のように日付と時刻で書き、更新前の通知にも同じ日付を載せます。
年額一括で払った受講者が途中で解約したとき、返金しないと定めてよいですか。
返金しない定めは、解除に伴う違約金を定めた条項として、消費者契約法9条1項1号と10条の審査を受けます。未経過の期間の対価を受け取りながら提供が続かない形になりやすいためです。月割りで精算する方法が最も説明しやすく、年額の割引を精算するなら、その根拠を申込み前に示します。通信販売には法定のクーリング・オフがないので、受講者が頼れるのは表示の義務、取消し、契約書の条項の効力になります。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月22日)。裁判例は、判決日と要旨とともに紹介しています。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 個人情報保護委員会 / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)