まずは取引とサービスを判定する
特定継続的役務提供の指定は7業種です。オンライン講座・コーチングというサービス名は指定業種の一覧にありませんが、内容が語学教室、学習塾、パソコン教室等に当たり、期間と金額の基準を超える場合は対象になり得ます。
販売前・契約後に必要になる書面
| 書類 | いつ | 主な目的 | オンライン事業の例 |
|---|---|---|---|
| 広告・特商法表記 | 募集・販売時 | 販売事業者・価格・支払・提供・解約等を表示 | LP、SNS広告からの販売ページ、決済導線 |
| 申込最終確認画面 | 申込確定直前 | 数量・総額・支払・期間・解除条件を確認 | 注文ボタン直前の確認画面 |
| 概要書面 | 特定継続的役務の契約前 | 役務内容、料金、解約等を事前説明 | 電子交付には法定の承諾等を確認 |
| 契約書面 | 契約成立後、遅滞なく | 契約内容を確定し、クーリング・オフ等を案内 | 交付日・受領記録を保存 |
| 受講規約・契約 | 申込時までに提示 | 提供条件・受講ルール・契約成立を整理 | 動画・ライブ・個別相談・教材配送の範囲 |
概要書面・契約書面に記載する事項
対象取引に応じ、事業者名・住所・電話番号・代表者、役務の内容、関連商品、契約総額、支払時期と方法、提供期間、クーリング・オフ、中途解約、特約などを記載します。契約書面では契約年月日や当事者、契約内容など、追加事項も必要です。
赤枠・赤字、8ポイント以上の文字
特定継続的役務提供の概要書面・契約書面には、法律で指定された重要事項を赤枠内に赤字で記載する要件があります。概要書面では書面をよく読むべき旨、契約書面ではクーリング・オフ事項などの表示を確認し、文字の大きさも原則8ポイント以上などの様式要件を守ります。単に文面中に「クーリング・オフ」と書くだけでは足りない場合があります。
不備があるとクーリング・オフ期間が始まらないことがある
8日間は、適法な契約書面を受領した日を基準に数えます。必須事項や赤枠・赤字などの要件を欠くと、適法な書面の交付と認められず、期間が進行していないと評価されることがあります。交付日を記録するだけでなく、使った書面の版と内容も確認可能にします。
クーリング・オフか通信販売かを分ける
消費者がWeb広告を見て自ら申込む通信販売には、法定クーリング・オフ制度がありません。ただし電話勧誘販売、訪問販売、指定継続的役務提供等に該当すれば別です。電話勧誘を受けて後からオンラインで決済したケースは、画面だけで通信販売と決めないでください。
クーリング・オフの種類を見分ける
「ネットで申し込んだなら通信販売」とだけ見て結論を出すことはできません。申込み前に事業者が電話や訪問で勧誘したか、サービスが特定継続的役務提供に当たるかなど、契約に至った経緯と内容を確認します。
| 類型 | 典型例 | 制度の目安 | 確認点 |
|---|---|---|---|
| 訪問販売 | 自宅訪問、営業所以外での勧誘契約 | 法定制度あり(原則8日) | 場所だけでなく勧誘の経緯も確認 |
| 電話勧誘販売 | 電話で勧誘され、後日Web決済 | 法定制度あり(原則8日) | 最終決済がオンラインでも電話勧誘が重要 |
| 特定継続的役務提供 | 指定業種・期間・金額の要件を満たす契約 | 法定制度あり(書面受領後8日) | オンライン提供でも対象になり得る |
| 通信販売 | 広告を見て自分でWeb申込み | 法定クーリング・オフ制度なし | 返品・解約条件の広告表示や合意を確認 |
精算条件は利用規約・販売画面で揃える
指定継続的役務なら、クーリング・オフでは提供済み役務の料金や違約金を請求せず全額返還が原則です。期間経過後の中途解約では、提供済み分と業種別上限の損害賠償等を精算します。
| 契約状況 | 精算方法 | 36万円・6か月契約の架空試算 |
|---|---|---|
| 書面受領から8日内 | 全額返還、提供済み分や違約金を控除しない | 36万円全額返金 |
| 2か月受講後の中途解約 | 提供済み12万円 + min(5万円, 残額24万円×20%=4.8万円) | 精算上限16.8万円。36万円支払済なら返金計算例19.2万円 |
語学教室の法定上限を用いた架空例です。役務開始前の解約は別上限、他の指定業種も上限が異なります。通信販売の場合はこの特定継続的役務の精算ルールが当然に適用されるわけではありません。
分割払い確認書面の項目
分割払いにする場合は、利用規約だけに埋め込まず、購入者が支払総額と予定を一覧できる確認書面を用意します。
外部講師・スタッフとの業務委託契約
受講者向け書類だけでなく、講師や運営スタッフとの契約もサービス設計の一部です。次の項目を決めます。
- 委託業務の範囲、講義日程、準備・質問対応・報告
- 報酬単価、準備等の費用、締日・支払期日、キャンセル料
- 教材・スライド・録画データの著作権帰属と利用許諾
- 講師の肖像・音声・氏名の利用範囲、公開期間、撤回時の扱い
- 受講者の個人情報、秘密情報、配信・決済プラットフォームの扱い
- 再委託、契約期間・更新、終了時の教材・アカウント引継ぎ
フリーランス法の対象となる委託では、業務内容・報酬額・支払期日等の取引条件明示や支払期日のルールを確認します。契約名が業務委託でも、実態が雇用に当たらないかは別途見ます。
書類どうしの矛盾を最後に点検
販売ページの価格、申込画面の更新欄、分割確認書、利用規約の解約条項が食い違うと、説明と契約の認識がずれます。講座内容・契約成立・料金・提供期限・解約・プラットフォーム障害の説明を横断して点検しましょう。
本ページは一般的な情報です。業種別の指定範囲や書面様式、個別契約への適用は契約の実態に基づく確認が必要です。参考: 消費者庁 特定継続的役務提供 / 公正取引委員会 フリーランス法