コーチングは特定継続的役務提供に当たる?
法律で指定された7業種に該当し、業種ごとの期間と契約金額の両方の基準を超える場合、特定継続的役務提供のルールが問題になります。オンラインで提供するから対象外と決められません。契約書や広告の呼び方だけでなく、指導内容・カリキュラム・個別対応の中心を見ます。
架空例: 3つのコーチング事業
| 例 | サービス | 見立ての入口 |
|---|---|---|
| A 英語発音コーチ | 週1回の英語指導、3か月、18万円 | 実質が語学教室であれば、期間・総額の基準を超える可能性 |
| B 起業伴走コーチ | 月2回の経営相談、6か月、33万円 | 起業相談だけなら指定業種ではない可能性。副業・仕事提供の誘引がある場合は別制度を確認 |
| C PCスキル指導 | 週2回の操作指導、2か月、9万円 | パソコン教室に当たるか確認。ただし契約期間が「2か月を超える」基準を満たすかがポイント |
クーリング・オフの種類と見分け方
まず契約のきっかけを確認します。Web広告を見て自ら申込んだ通信販売には、法律上の一般的なクーリング・オフ制度はありません。一方、販売前の電話勧誘や訪問勧誘があれば、決済がWebでも別類型に該当し得ます。指定継続的役務に該当すれば、その制度が適用される可能性もあります。
クーリング・オフの種類を見分ける
「ネットで申し込んだなら通信販売」とだけ見て結論を出すことはできません。申込み前に事業者が電話や訪問で勧誘したか、サービスが特定継続的役務提供に当たるかなど、契約に至った経緯と内容を確認します。
| 類型 | 典型例 | 制度の目安 | 確認点 |
|---|---|---|---|
| 訪問販売 | 自宅訪問、営業所以外での勧誘契約 | 法定制度あり(原則8日) | 場所だけでなく勧誘の経緯も確認 |
| 電話勧誘販売 | 電話で勧誘され、後日Web決済 | 法定制度あり(原則8日) | 最終決済がオンラインでも電話勧誘が重要 |
| 特定継続的役務提供 | 指定業種・期間・金額の要件を満たす契約 | 法定制度あり(書面受領後8日) | オンライン提供でも対象になり得る |
| 通信販売 | 広告を見て自分でWeb申込み | 法定クーリング・オフ制度なし | 返品・解約条件の広告表示や合意を確認 |
「稼げる」講座は勧誘類型にも注意
講座の購入者に仕事・収入機会を提供すると誘い、そのために金銭負担を求める実態がある場合、業務提供誘引販売取引など別の規制を検討することがあります。「起業・副業を学ぶ講座」だから自動的に該当するわけではなく、仕事の提供や収益機会を誘引した経緯を確認します。
概要書面・契約書面と赤枠表示
特定継続的役務提供に該当する場合、契約前に概要書面、契約後すみやかに契約書面を交付する義務があります。電子交付は所定の承諾・手続が必要です。オンライン講座だからPDFを送れば足りる、と決めつけず、交付方法も確認します。
書面・広告で確認する情報
- 事業者の名称、住所、電話番号、代表者
- 役務の内容、提供期間、関連商品とその数量
- 入会金・授業料・教材費等を含む総額、支払時期・方法
- クーリング・オフ、中途解約、精算方法、特約
- 広告と申込最終確認画面の販売価格・提供時期・解約条件
記載不備は、期間の起算を遅らせることがある
必要事項の欠落や表示方法の不備があると、適法な書面を交付したといえず、クーリング・オフ期間がまだ進行していないと評価されるリスクがあります。「PDFを送った日から8日で終了」と一律に扱わず、受領日と書面の適法性を確認します。
中途解約とクーリング・オフの精算差
クーリング・オフでは受領済み金銭を全額返還し、受講済み分を差し引きません。期間を過ぎた中途解約では、提供済みサービス相当額に加え、業種別の法定上限まで解約損害金等を精算できます。
| 場面 | 精算根拠 | 架空例: 6か月36万円、2か月受講 |
|---|---|---|
| 書面受領後8日以内の解除 | 受領済み金銭の全額返還。提供済み分・違約金なし | 36万円を支払済みなら36万円返金 |
| 開始後・期間経過後の中途解約 | 提供済み分 + min(5万円, 契約残額の20%) | 12万円 + min(5万円, 4.8万円)=16.8万円が精算上限、支払済36万円なら返金計算例19.2万円 |
| 開始前の中途解約 | 契約締結・履行段階の上限15,000円(語学教室) | 受領済み額から上限内で精算 |
架空例の金額を月ごとに均等配分し、提供済み2か月の価値を12万円として試算しています。実務では授業単位等、契約と提供実績に沿う計算が必要です。家庭教師、学習塾、パソコン教室等は法定上限額が異なります。
利用規約で定める実務項目
定型約款の変更条項は、事業者がいつでも自由に改定できるという意味ではありません。民法548条の4の要件に照らし、変更の必要性・相当性等を検討し、効力発生日と周知方法を定めます。遅延損害金は年14.6%という雛形を転記せず、取引の性質・上限規制を確認してください。
開業初期に用意するもの
サービス説明、コーチング契約・利用規約、販売ページの特商法表記、申込画面の最終確認、プライバシーポリシー、講師を起用する場合の業務委託契約を揃えます。詳しい項目は必要書類ページで確認できます。