ATLAS ADMINISTRATIVE SCRIVENER CORPORATIONオンライン講座・コーチングの法務準備
LEGAL GUIDE · coaching-open

コーチング開業前に確認したい、契約・解約・法定書面

コーチングの名称だけでは適用ルールは決まりません。実際の指導内容、勧誘経路、期間と価格を見て、必要な規約と書面を確認します。

架空のケースを用いた一般解説
コーチング開業では、肩書きでなく「何をどのように提供するか」を見ます。起業相談、語学指導、パソコン指導、カウンセリングなど、同じ「コーチング」でも法律上の分類や契約ルールが異なります。

コーチングは特定継続的役務提供に当たる?

法律で指定された7業種に該当し、業種ごとの期間と契約金額の両方の基準を超える場合、特定継続的役務提供のルールが問題になります。オンラインで提供するから対象外と決められません。契約書や広告の呼び方だけでなく、指導内容・カリキュラム・個別対応の中心を見ます。

指定7業種美容・医療美容・語学・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚相手紹介
1か月 / 2か月超業種ごとに契約期間の基準が異なります
契約総額5万円超入会金・授業料・教材費等の関連費用を含めて判定
何を教える役務か名称や「コーチング」という呼び方でなく、実際の指導内容を確認
指定7業種に該当?役務内容が指定範囲に入るか照合
期間・総額の基準超?業種ごとの期間と5万円超を確認
勧誘方法・契約者は?取引類型と消費者契約かを別々に確認
特定継続的役務提供の判定イメージ。条件はすべて契約の実態に基づいて確認します。

架空例: 3つのコーチング事業

サービス内容と期間・金額を分けて考える
例サービス見立ての入口
A 英語発音コーチ週1回の英語指導、3か月、18万円実質が語学教室であれば、期間・総額の基準を超える可能性
B 起業伴走コーチ月2回の経営相談、6か月、33万円起業相談だけなら指定業種ではない可能性。副業・仕事提供の誘引がある場合は別制度を確認
C PCスキル指導週2回の操作指導、2か月、9万円パソコン教室に当たるか確認。ただし契約期間が「2か月を超える」基準を満たすかがポイント
例外・除外の確認: 期間・金額の基準に届かない契約や指定範囲外の役務は、特定継続的役務提供の規制対象とはならないことがあります。また、営業のため・営業として締結するなど事業目的の契約は消費者保護規定の適用関係が異なる場合があります。ただし、受講者が個人だから常に消費者、事業名目だから必ず事業者と単純には決まりません。

クーリング・オフの種類と見分け方

まず契約のきっかけを確認します。Web広告を見て自ら申込んだ通信販売には、法律上の一般的なクーリング・オフ制度はありません。一方、販売前の電話勧誘や訪問勧誘があれば、決済がWebでも別類型に該当し得ます。指定継続的役務に該当すれば、その制度が適用される可能性もあります。

クーリング・オフの種類を見分ける

「ネットで申し込んだなら通信販売」とだけ見て結論を出すことはできません。申込み前に事業者が電話や訪問で勧誘したか、サービスが特定継続的役務提供に当たるかなど、契約に至った経緯と内容を確認します。

訪問・電話勧誘?該当する販売類型なら原則8日間の制度
指定継続サービス?該当すれば書面受領後8日間
Web広告から自発申込?通常は通信販売。法定クーリング・オフ制度なし
別の類型の可能性?仕事提供を誘引する等、別制度も事実で検討
販売ページがWebでも、申込前の電話勧誘等があれば類型が変わり得ます。
取引類型と基本的なクーリング・オフ
類型典型例制度の目安確認点
訪問販売自宅訪問、営業所以外での勧誘契約法定制度あり(原則8日)場所だけでなく勧誘の経緯も確認
電話勧誘販売電話で勧誘され、後日Web決済法定制度あり(原則8日)最終決済がオンラインでも電話勧誘が重要
特定継続的役務提供指定業種・期間・金額の要件を満たす契約法定制度あり(書面受領後8日)オンライン提供でも対象になり得る
通信販売広告を見て自分でWeb申込み法定クーリング・オフ制度なし返品・解約条件の広告表示や合意を確認
通信販売には法定クーリング・オフ制度がありません。ただし、これは「どんな場合も取消し・返金がない」という意味ではありません。事業者の表示・約束、消費者契約法等の別ルール、決済や提供の状況に基づく検討は別に必要です。

「稼げる」講座は勧誘類型にも注意

講座の購入者に仕事・収入機会を提供すると誘い、そのために金銭負担を求める実態がある場合、業務提供誘引販売取引など別の規制を検討することがあります。「起業・副業を学ぶ講座」だから自動的に該当するわけではなく、仕事の提供や収益機会を誘引した経緯を確認します。

概要書面・契約書面と赤枠表示

特定継続的役務提供に該当する場合、契約前に概要書面、契約後すみやかに契約書面を交付する義務があります。電子交付は所定の承諾・手続が必要です。オンライン講座だからPDFを送れば足りる、と決めつけず、交付方法も確認します。

申込み前サービス・料金・期間・解約などを説明する概要書面
契約成立時契約日・提供内容・対価等を特定した契約書面を交付
受領後8日法定要件を満たす書面を受け取った日から起算
期間経過後中途解約の精算上限等を確認

書面・広告で確認する情報

  • 事業者の名称、住所、電話番号、代表者
  • 役務の内容、提供期間、関連商品とその数量
  • 入会金・授業料・教材費等を含む総額、支払時期・方法
  • クーリング・オフ、中途解約、精算方法、特約
  • 広告と申込最終確認画面の販売価格・提供時期・解約条件
赤枠・赤字と文字サイズ: 概要書面・契約書面では「書面をよく読むべき旨」等、法律・施行規則で定める事項を赤枠・赤字で示す要件があり、契約書面のクーリング・オフ事項も赤枠・赤字での表示が求められます。文字は8ポイント以上など、様式要件まで確認してください。

記載不備は、期間の起算を遅らせることがある

必要事項の欠落や表示方法の不備があると、適法な書面を交付したといえず、クーリング・オフ期間がまだ進行していないと評価されるリスクがあります。「PDFを送った日から8日で終了」と一律に扱わず、受領日と書面の適法性を確認します。

中途解約とクーリング・オフの精算差

クーリング・オフでは受領済み金銭を全額返還し、受講済み分を差し引きません。期間を過ぎた中途解約では、提供済みサービス相当額に加え、業種別の法定上限まで解約損害金等を精算できます。

語学教室の法定上限と架空精算例
場面精算根拠架空例: 6か月36万円、2か月受講
書面受領後8日以内の解除受領済み金銭の全額返還。提供済み分・違約金なし36万円を支払済みなら36万円返金
開始後・期間経過後の中途解約提供済み分 + min(5万円, 契約残額の20%)12万円 + min(5万円, 4.8万円)=16.8万円が精算上限、支払済36万円なら返金計算例19.2万円
開始前の中途解約契約締結・履行段階の上限15,000円(語学教室)受領済み額から上限内で精算

架空例の金額を月ごとに均等配分し、提供済み2か月の価値を12万円として試算しています。実務では授業単位等、契約と提供実績に沿う計算が必要です。家庭教師、学習塾、パソコン教室等は法定上限額が異なります。

利用規約で定める実務項目

定型約款の変更条項は、事業者がいつでも自由に改定できるという意味ではありません。民法548条の4の要件に照らし、変更の必要性・相当性等を検討し、効力発生日と周知方法を定めます。遅延損害金は年14.6%という雛形を転記せず、取引の性質・上限規制を確認してください。

開業初期に用意するもの

サービス説明、コーチング契約・利用規約、販売ページの特商法表記、申込画面の最終確認、プライバシーポリシー、講師を起用する場合の業務委託契約を揃えます。詳しい項目は必要書類ページで確認できます。

READ NEXT

関連する読みもの

監修:アトラス行政書士法人 最終確認日:2026年10月13日
代表社員
荒木素子(行政書士登録番号 23301136)
事務所所在地
〒662-0098 兵庫県西宮市柏堂西町14番25号
行政書士法人番号
2308101
国税庁法人番号
3140005026635

事務所情報は本体サイトの事務所概要・代表あいさつに基づき記載しています。個別案件は契約経緯・内容等の確認が必要です。