コミュニティ・録画・個人情報

録画・コミュニティ・個人情報は、受講者どうしの間で起きることまで想定して書きます。

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グループコンサルで受講者が話した家族や健康の事情が、録画として受講生全員に共有される。同意と削除の手当てがないまま運用している講座があります。

このページの要点

  • 録画の受講者間の共有は第三者提供に当たり得る。同意、映りたくない人の参加方法、保存期間を決める。
  • 卒業後のコミュニティは、役務か無償の特典かを決め、「無期限」とは書かない。
  • 病歴・通院・処方薬などの要配慮個人情報は、事前の同意なしに取得できない(個人情報保護法20条2項)。
  • 外国のサービスへの提供は、委託でも本人の同意と国名などの情報提供が必要(同法28条)。

結論:録画・コミュニティ・個人情報は「受講者どうしの間で起きること」まで想定して書く

オンライン講座では、グループコンサルを録画してアーカイブで配信する、DiscordやLINEのオープンチャットで受講生のコミュニティを運営する、申込みのフォームで健康状態や家計の状況を尋ねる、ZoomやGoogleなど海外のサービスを使う、といった運営が当たり前になっています。これらはどれも、事業者と受講者の一対一の関係にとどまらず、受講者どうしの間で個人の情報や発言が行き来するのが特徴です。グループコンサルで受講者が話した家族の事情が、録画として他の受講者全員に共有されることもあります。

アトラス行政書士法人では、受講規約とプライバシーポリシーを一体で作り、録画の同意の取り方、コミュニティの位置づけ、受講者どうしの取引や接触のルール、健康などの要配慮個人情報の取得、外国のサービスへの提供の同意を、それぞれ条文にしています。このページでは、その設計の考え方を説明します。講師の講義の録画の権利(著作権など)は教材・ノウハウの保護で、個別相談の録画はZoom個別相談・無料セミナーと電話勧誘販売で触れています。

グループコンサルの録画と共有

美容系の講座では、グループコンサルの録画を受講者の間で期間を限って共有する運用について、録画の受講者間での共有は個人データの第三者提供に当たり得て(個人情報保護法27条1項)、健康にかかわる話が混じれば要配慮個人情報を含むことになるため、オプトアウトの方式は使えず、同意を得て進める必要があると整理しました。そのうえで、Zoomのクラウドには保存せず業務用の端末に保存する、ダウンロードを禁止した設定のリンクをコミュニティに掲示して閲覧のみにする、個別面談は録画しない、受講者による録画のダウンロード・転載・共有を禁止する、と規約・プライバシーポリシー・契約書の三か所にそろえて書いています。

録画に映りたくない受講者への手当て(美容系の講座の規約から)

  • 録画に同意しない受講者は、カメラとマイクをオフにして参加できる。
  • 録画を始める前に、その回が録画されることを確認する。
  • 同意していない受講者が誤って記録された場合は、編集で削除する(同意したものとみなさない)。
  • 本名を使わない参加、映像や音声を送らない参加ができる。
  • 健康にかかわる相談はグループでは話さず、個別のサポートで受ける。
  • 録画を削除する時期をプライバシーポリシーに書く。

グループコンサルを録画してアーカイブで配信するマネー講座では、申込み前の確認メッセージに「他の方に知られたくない事柄は、その場で話さないでください」という一文を入れました。家計管理サービスでは、肖像の利用の条にある「オンライン講座等」に1対1の個別面談が含まれるか分からなかったため、講座と個別面談を書き分け、個別面談は別に同意がない限り録画・利用しないと定めています。他の受講者の音声や映像が写り込む可能性についての同意を設計に入れた例もあります。

保存の期間と方法も書きます。終了後6か月で削除する、同意したときだけ録画して90日で削除する、など講座によって設計は違いますが、期間を書かない運用は避けます。個別コーチングでは、同意フォームで同意した人だけを録画して本人にだけ渡し、同意しなくても受講料と内容は変わらないこと、同意は将来に向かって撤回できることを明記しました。動画サイトの限定公開で共有するため、URLを知る人なら誰でも見られる性質であることと自動の字幕が付くことも書き、URLは終了から6か月で止める、解除したときはすぐに止められる、としています。依頼者の原案は受講者の録画だけを禁止していて、事業者が録画する根拠がない状態でした。文字起こしのツールを使うなら、それは外部への委託に当たり得て(27条5項1号)、提供者が海外なら外国の第三者への提供の問題も生じる、と注意した例もあります。録画の同意は、沈黙や予約しただけでは同意とせず、明示の操作で取る運用にしています。

卒業後のコミュニティ・オープンチャットの位置づけ

講座の修了後も受講生のコミュニティを続けたいという相談は多く、そのとき最初に決めるのが、コミュニティが「契約上の役務」なのか「無償の特典」なのか、です。マネー講座の契約書では、無償の継続的なコミュニティを提供することがあるが、本契約に基づく役務ではなく、内容と期間は任意に変更・終了できる、と定めました。同じ講座の発言のガイドラインでは、コミュニティが無償であっても業法上の評価は変わらないこと、受講生どうしの投資の勧誘やお金の貸し借りが起きうること、受講契約が終わった後は契約上の禁止事項が及ばないので、コミュニティを開くなら禁止行為・除名・免責を定めた規約を用意すること、を指摘しています。

事務所の改訂例 コミュニティの位置づけを直した例

無期限のサポート

出発点「卒業後も無期限でコミュニティを提供します」と義務の形で記載
改訂後提供期間中は役務の内容に含め、満了後は任意・無料で、請求権がなく、いつでも終了できる特典とする。「無期限」の語は使わない

決済代行会社の審査は無期限のサポートを受け付けず、審査資料として出すと無期限の役務を約束したように読まれるためです。

特典の価値

出発点受講料に含まれない特典を大きく打ち出す
改訂後価値の大きい特典は、景品類の規制との関係を確認する

受講料の対価に含まれない無償の特典は、総付景品の規制の対象になり得ます。

記載の残り

出発点コミュニティの位置づけを変えた後も、プライバシーポリシーの別表に「卒業後の継続コミュニティの運営」が残る
改訂後別表を補正し、利用目的と提供期間をそろえる

規約とプライバシーポリシーで位置づけが食い違わないようにしました。

修了者向けに月額制のオンラインサロンを新しく設けた講座では、退会は1か月前の通知、すでに払った会費は返さない、という定めを置いています。コミュニティを講座の「付随的な一部」とし、変更や終了による返金はしない、と位置づけ直した例もあります。いずれの形でも、事業者がコミュニティを常に監視する義務は負わないが、違法・有害な投稿を把握したときは合理的な措置をとる、と併記するのが事務所の書き方です。離婚や心の状態の相談を、複数の人が見られるオープンチャットで扱うのが適切か検討するよう指摘した例もあります。

受講者どうしの取引・接触・投稿の扱い

コミュニティがあれば、受講者どうしの取引や接触も起こります。マネー講座の契約書では、受講生どうしの取引(売買、お金の貸し借りや立替え、共同購入、第三者の紹介やあっせん、紹介制度の利用を含む)は当事者の責任であり、事業者は関与せず、仲介の義務も負わない、と定めました。個別コーチングの規約では、他の受講者への勧誘や宗教・政治の活動、面会の強要・自宅への訪問・つきまとい・過度な連絡、他の受講者の投稿や発言の無断の開示を禁止事項に列挙しています。ネットワークビジネスへの誘導、受講者どうしの個人的な取引、無断の個別連絡、投稿の外部への転載を禁止事項に加えるよう求めたレビューや、承認されていないLINEグループの作成や連絡先の交換を禁止した教室の規約もあります。

禁止行為を調べるために事業者が投稿を見る場面についても書いておきます。Instagramのコンサル講座の規約では、禁止行為の調査に必要な範囲でアカウントの情報やコミュニティの投稿を閲覧でき、調査の目的以外に使わない、と定めました。起業支援講座のレビューでは、アカウントの閲覧は必要最小限に限り、外部のSNSの認証情報まで求める根拠にしないよう指摘しています。受講者の感想や発言を広告に使う場合は、氏名を消しても家族構成・子どもの年齢・地域から本人が分かることがあるため、個別セッションやコミュニティでの発言は掲載する文面を見せて個別に確認する、と求めた例もあります。

健康・家計・子どもの情報:要配慮個人情報の取得

病歴など、本人に対する不当な差別や偏見が生じないよう特に配慮を要する情報は「要配慮個人情報」と定義され(個人情報保護法2条3項)、あらかじめ本人の同意を得なければ取得できません(同法20条2項)。美容系の講座では、既往歴は病歴に当たり、処方薬や通院の事実も政令で定める情報に当たる一方、市販薬は当たらないこと、美容医療の経験や肌の写真は当たり得るため一体で同意を取ることを整理し、Googleフォームの冒頭に同意の文と必須のチェックを置きました。妊娠・授乳、月経、市販薬、写真単体のように、要配慮個人情報ではないが慎重に扱う情報も区分しています。同意しない人には「受講に適さない事情がある」旨だけを申告してもらう形にしました。

個人情報保護委員会のガイドラインは、本人が自ら提供した要配慮個人情報は、その取得について同意があったものと解されるとしています。個別コーチングでは、予約フォームで健康情報を尋ねるのをやめ、事業者から尋ねず、本人が自ら話した場合は同意があったものとして扱う、とプライバシーポリシーに定めました。利用の目的は、実施の適否、内容の調整、受診を優先する判断、緊急時の対応に限り、診断や広告には使わず、生成AIにも入力しません。家計管理サービスでは、家計や資産の情報は要配慮個人情報には当たらない(2条3項は限定的な列挙)としたうえで、家計の状況や改善のプランを事例として使う場合は、匿名に加工すれば自由に使え、本人を特定できる形なら別に同意を取る、という二段の構成にしました。子どもの発達を支援するサービスでは、発達障害にかかわる情報は要配慮個人情報に当たるとして保護者の同意で取得し、子どもが成年に達したら改めて同意を取る設計にしています。スピリチュアル系のサービスでは、要配慮個人情報の扱いに「信条」を加えました。

保存の期間にも注意が要ります。美容系の講座のプライバシーポリシーのレビューでは、「講座終了後6か月で健康情報を削除」とすると、損害賠償の請求ができる期間より先に事業者側の記録が消えてしまうため、紛争への対応のために保存する旨のただし書を残すよう求めました。要配慮個人情報を含む個人データが漏えいした場合は、件数にかかわらず個人情報保護委員会への報告の対象になる(26条1項、同法施行規則7条1号)ことも指摘しています。

Zoom・LINE・Googleなど外国のサービスとプライバシーポリシー

講座の運営に使うZoom、Google、Discordなどは、多くが外国の事業者のサービスです。外国にある第三者に個人データを提供するには、原則として、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意が必要で(個人情報保護法28条1項)、同意を得ようとするときは、その外国の名称、その国の個人情報の保護の制度、提供先が講じる措置についての情報を本人に提供しなければなりません(同条2項)。業務の委託であっても、提供先が外国にあればこの規律がかかる点が見落とされやすいところです。事務所の資料では、無償のサービスでは提供先の体制を確認する方法が現実的でないことが多く、本人の同意を得る方式が現実的だと整理し、プライバシーポリシーに国名と三つの情報を書いています。

個別コーチングのプライバシーポリシーでは、委託先が個人データを取り扱うかどうかにかかわらず外国にある第三者への提供として扱い同意を取る、保守的な方式にしました。サービスごとに国名を書き、日本の事業者でも外国の拠点で取り扱う場合は同様に扱い、個人情報を入力しないデザインツールはその旨を明記しています。Zoom・Google・メール・LINEへの提供の同意は契約の条件とし、録画と生成AIへの入力は任意の同意にしました。生成AIについては、氏名などを除いて入力しても個人データに当たり得るとして、匿名化を断定せずに同意を取り、学習に使われない条件のサービスに限っています。美容系の講座では、同意のチェック欄を、要配慮個人情報・米国の事業者への提供・録画の共有の三つに分けるよう求めました。申込みのフォームで個人情報を取得するときは、少なくとも利用目的をあらかじめ明示する必要があります(21条2項)。

プライバシーポリシーは、専用のページを一つ作り、そこへリンクする方式を勧めています。購入の同意のチェックは購入ボタンの直前の画面にリンクを並べ、LPのフッターにもリンクを置きます。施行日を「専用ページを公開しLPからリンクを設置した日」と定義し、URLが決まってから附則に具体的な日付を入れ、URLは一度決めたら変えない、というのが事務所の運用です。契約前の相談の段階(セミナー・LINE・Zoom)でも、プライバシーポリシーを示して同意の文言を置いておきます。書類全体のそろえ方はオンライン講座に必要な書類一式をご覧ください。

会員制のサービス・受講者による録画・AIへの入力

講座を会員制のサービスとして運営する場合は、会員の地位そのものの設計も問題になります。受験コーチングを行う一般社団法人の会員規約をチェックした案件では、会員が法人の「社員」なのか、契約上の会員にすぎないのかが定められていない点を最初に指摘しました。社員であれば、除名は正当な事由があるときに限り社員総会の決議(特別決議)で行い、総会の1週間前までに通知して弁明の機会を与えなければならないため(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律30条1項・49条2項1号)、規約で除名の手続を自由に決めることはできません。同じ規約では、グループ会社への会員情報の提供について、委託・共同利用・同意のどれによるのかが整理されていない点も指摘しています。会費を返さない定めは、少額でただし書がある形なら維持できる、と評価しました。

受講者の側の録画・録音・AIへの入力のルールも、近時の案件ではほぼ標準になっています。講座の録画や講義の録音を第三者に共有することの禁止に加えて、文字起こしのツールや生成AIへの入力を禁止する規約が増えました。ただし、受講者が自分の復習のために録音することまで禁じる必要があるかは講座によって違い、引き寄せ系の講座の契約書では、禁止するのを公開と配布に限り、自分で使うための録音は禁止しない形にしています。家計管理の会員制の講座では、他の会員の家計の情報を秘密として扱う義務を会員に課しました。講師養成の団体で講師が退任する場面では、退任者がコミュニティに残した投稿を引き続き公開するか(合理的な削除の要望は検討する)、退任をコミュニティで本人が発表するか、といった点も合意書で決めています。個別セッションの守秘の範囲はコーチング・個別セッション型講座の開業で、規約の変更や管轄などの条項は受講規約・受講契約書の条項Q&Aで説明しています。

ヒヤリングの問いと理由 録画・コミュニティ・個人情報について最初に確かめること

  1. グループコンサルや個別セッションを録画しますか。録画は誰が、どこで、どのくらいの期間見られますか。

    第三者への提供に当たるか、同意の取り方と保存期間を決めるためです。

  2. 修了後もコミュニティを続けますか。受講料に含まれますか。

    役務か特典かを決め、規約・表記・販売ページの書き方をそろえるためです。

  3. 申込みや相談で、健康状態・通院・家計・子どもの情報を尋ねますか。

    要配慮個人情報に当たるか、同意の取り方と利用目的を決めるためです。

  4. 使っている外部のサービスを、すべて挙げてください(会議・チャット・決済・予約・フォーム・文字起こし・生成AI)。

    提供先の国名と、同意が必要な範囲を特定するためです。

  5. 運営スタッフや講師に、受講者の情報を見せることはありますか。

    委託先の監督と、守秘の範囲を決めるためです。

起きがちなこと

よくあるご質問

グループコンサルを録画して受講生に共有してもよいですか。

共有は個人データの第三者提供に当たり得るため、事前に同意を得て行います。健康や家庭の話が混じる可能性があるので、録画に同意しない人の参加方法、誤って記録された場合の削除、閲覧のみでダウンロードできない共有方法、保存期間を規約とプライバシーポリシーに書いておきます。

録画に映りたくない受講生への対応は。

カメラとマイクをオフにした参加、本名を使わない参加を認め、録画の前に確認し、同意のない人が記録された場合は編集で削除します。録画に同意しなくても受講料や内容が変わらないことも明記しておきます。

受講生のコミュニティ(DiscordやLINEオープンチャット)にはどんなルールが必要ですか。

コミュニティが契約上の役務か無償の特典かを決め、禁止行為(勧誘、お金の貸し借り、つきまとい、投稿の無断転載など)、除名、事業者が監視の義務を負わないことと違法な投稿への対応を定めます。受講生どうしの取引には事業者が関与しないことも書いておきます。

受講者の健康状態や通院歴を聞くときの注意点は。

病歴や通院・処方薬の情報は要配慮個人情報に当たり、事前に本人の同意を得なければ取得できません。尋ねる前に同意の文と確認欄を置き、利用目的を受講の適否の判断などに限り、同意しない人の扱いも決めておきます。

ZoomやLINEを使うだけでも、プライバシーポリシーに書く必要がありますか。

外国の事業者のサービスに受講者の個人データを提供する場合は、委託であっても、外国にある第三者への提供として本人の同意と、国名・その国の制度・提供先の措置の情報提供が必要になります。使うサービスと国名をプライバシーポリシーに具体的に書いておきます。

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本ページは一般的な情報提供です。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきたオンライン講座の受講規約・受講契約書、電話勧誘販売の契約書面・申込書面、特定商取引法に基づく表記、プライバシーポリシー、分割払いの合意書、講師・運営スタッフの業務委託契約書、講座の構築・運用の受託契約などを、個別の事業者や講座が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月16日)。裁判例は、事務所の報告書・回答書で検討したものを、判決日と要旨とともに紹介しています。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 個人情報保護委員会 / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)

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