1. 提供内容と期間を分解する
録画動画をいつからいつまで視聴できるか、ライブ配信は何回か、PDF教材はどの版を渡すか、材料キットは誰がいつ発送するかを分けて記載します。開始日が「決済後」なのか「事業者の承諾後」なのかも揃えてください。
架空例: 4か月の「動画+月2回ライブ+PDF教材」講座
総額24万円、申込後に事業者が内容を確認して承諾メールを送信、承諾時に契約成立。初回決済後、動画アカウントを発行し、登録完了から4か月間視聴可能。ライブ欠席時の録画有無、質問への回答期限、教材の再配布禁止まで決めます。
2. 料金は月額か総額分割かを明記
「月々4万円×6回」と書くだけでは、6か月の月謝契約なのか、総額24万円の分割払いなのか誤解されることがあります。契約期間・支払回数・自動更新の有無・途中退会後の残額をそれぞれ示します。
| モデル | 契約内容 | 表示・契約で明確にする点 |
|---|---|---|
| 月謝制 | 月ごとに役務を提供、更新を続ける | 次回更新日、解約期限、更新停止方法 |
| 総額分割 | 総額を確定し、支払いだけ分割 | 総額、回数、各回額、期日、手数料 |
| 更新制コース | 期間満了後に更新手続き | 更新条件、新契約の価格、更新の意思確認 |
分割払い確認書面を別途交付する運用なら、事業者情報、役務内容、総対価、分割回数、各回支払額、支払期日、分割手数料の有無を一枚で確認できるようにします。
3. 申込みと契約成立のタイミングを設計する
申込フォーム送信と契約成立を同じにしない運用なら、「申込みは契約の申込みであり、事業者が承諾した時点で成立する」などと規約と自動メールに揃えて記載します。承諾前に決済を受ける場合の返金・不成立時処理も決めてください。
4. 特定継続的役務提供に当たるか確認
講座の内容が指定7業種に含まれるか、提供期間と契約総額が基準を超えるかを確認します。オンラインでも対象となる可能性があり、業種名・講座名ではなく役務の中身で判定します。
架空例で比べる
| 架空の講座 | 条件 | 初期整理 |
|---|---|---|
| 英会話コーチング | 3か月・総額18万円・毎週英会話指導 | 語学教室に当たるか、期間・金額を確認。該当なら適用可能性が高い |
| 起業の壁打ちコンサル | 6か月・総額30万円・月2回相談 | 起業相談だけなら指定役務とは限らない。実際に語学等を教える内容の混在も確認 |
| パソコン資格スクール | 1か月・総額8万円 | パソコン教室でも「2か月を超える」基準に届かない場合、指定継続役務の要件は通常満たさない |
クーリング・オフの種類を見分ける
「ネットで申し込んだなら通信販売」とだけ見て結論を出すことはできません。申込み前に事業者が電話や訪問で勧誘したか、サービスが特定継続的役務提供に当たるかなど、契約に至った経緯と内容を確認します。
| 類型 | 典型例 | 制度の目安 | 確認点 |
|---|---|---|---|
| 訪問販売 | 自宅訪問、営業所以外での勧誘契約 | 法定制度あり(原則8日) | 場所だけでなく勧誘の経緯も確認 |
| 電話勧誘販売 | 電話で勧誘され、後日Web決済 | 法定制度あり(原則8日) | 最終決済がオンラインでも電話勧誘が重要 |
| 特定継続的役務提供 | 指定業種・期間・金額の要件を満たす契約 | 法定制度あり(書面受領後8日) | オンライン提供でも対象になり得る |
| 通信販売 | 広告を見て自分でWeb申込み | 法定クーリング・オフ制度なし | 返品・解約条件の広告表示や合意を確認 |
概要書面・契約書面と赤枠表示
特定継続的役務提供に該当する場合、契約前に概要書面、契約後すみやかに契約書面を交付する義務があります。電子交付は所定の承諾・手続が必要です。オンライン講座だからPDFを送れば足りる、と決めつけず、交付方法も確認します。
書面・広告で確認する情報
- 事業者の名称、住所、電話番号、代表者
- 役務の内容、提供期間、関連商品とその数量
- 入会金・授業料・教材費等を含む総額、支払時期・方法
- クーリング・オフ、中途解約、精算方法、特約
- 広告と申込最終確認画面の販売価格・提供時期・解約条件
記載不備は、期間の起算を遅らせることがある
必要事項の欠落や表示方法の不備があると、適法な書面を交付したといえず、クーリング・オフ期間がまだ進行していないと評価されるリスクがあります。「PDFを送った日から8日で終了」と一律に扱わず、受領日と書面の適法性を確認します。
5. 途中解約と返金条件を分ける
原則として、指定継続的役務のクーリング・オフ期間内なら、既にサービスを受けていても役務対価・違約金を請求せず、受領済みの金銭を全額返還する扱いです。これに対し、期間経過後の中途解約は、提供済み役務の対価に加え、法律上の上限内で損害賠償等を請求できる制度です。
| 比較点 | クーリング・オフ | 期間経過後の中途解約 |
|---|---|---|
| 契約解除 | 法律上の要件を満たせば無条件解除 | 将来に向かって解約 |
| 提供済み分 | 原則として請求不可 | 実際に提供済みの対価を精算 |
| 違約金等 | 請求不可 | 法定上限内。開始前15,000円、開始後は5万円または契約残額の20%の低い方まで |
架空計算例: 6か月・総額36万円の語学オンライン講座
各月の役務価値を6万円、契約2か月経過時点の提供済み価値を12万円とします。
- 有効な書面を受け取ってから8日以内: クーリング・オフなら、受領済みの36万円を全額返還。提供済み2か月分12万円や違約金は差し引きません。
- 8日経過後に中途解約: 提供済み12万円 + 解約損害金上限(契約残額24万円の20% = 4万8,000円。5万円との低い方)= 精算上限16万8,000円。36万円を全額支払済みなら、差額19万2,000円が返金の計算例になります。
- 役務開始前の中途解約: 上限は1万5,000円。事業者が受領した金銭から控除できる範囲を確認します。
上記は語学教室の指定継続的役務に該当する架空例です。各業種の上限は異なります。授業回数単価など合理的な提供済み価値の算定が必要です。
6. 運営ルールを利用規約に落とす
- 18歳未満の受講は法定代理人の事前同意を得る
- 成果・資格合格・収益・スキル向上を保証しない。ただし広告表現と矛盾させない
- 提供期間の終期(例: 登録完了から6か月)と終了後のアクセス停止を明記
- Zoom等の外部プラットフォーム、決済・配信サービス障害時の連絡・振替・代替策を定める
- 教材の著作権帰属、複製・転載・共有の禁止、受講者投稿の扱いを定める
- 定型約款の変更は民法548条の4の要件に沿い、変更内容・効力発生日・周知方法を整理
- 支払遅延損害金を定める場合は、年率や起算日を明示し、消費者契約法等との適合性を確認(年14.6%を機械的に転記しない)
開業前の確認リスト
サービスの提供内容、期間、総額、分割方法、勧誘方法、申込画面、交付書面、外部講師契約をひと続きで確認しましょう。個別の制度適用を含む詳しい書面は必要書類ページへ。